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2015年11月22日 22時44分

扶養、not扶養の判定 その1

カテゴリー:税務・会計

11月も後半に入り、年末調整の時期が近付いてきました。
今回はその年末調整にも関係する「所得税の扶養控除」に関して、特に金額の面から触れたいと思います。

まずは用語の定義から。
給与支給額から給与所得控除額を差し引いたものを給与所得といい、給与所得控除額の最低額は65万円です(給与所得控除は給料を得るための経費みたいなイメージです)。

さて、所得税の扶養というと「年収103万円以下」という数字が反射的に出てきがちですが、これは正確ではなく「収入が給与のみの場合」という条件付です。
所得税の扶養に該当するためには「合計所得金額が38万円以下」である必要があるため、前述の給与所得控除額65万円と合わせ給与支給額が103万円以下であれば扶養に入る金額的な要件を満たすことになります。

ここから私の実体験になりますが、つい最近もこんなやりとりがありました。
今年になって顧問契約を結んだ、とある会社の社長の奥さんからの質問。
奥「私は社長(夫)の扶養には入れないんですよね?」
私「奥さんの収入って年間でどれくらいですか?」
奥「え~っと、○○○万くらいです」
私「あ~、その金額だと扶養には入れないですね」
奥「そうですか…」

その後事務所に戻り、預かってきた会社の帳簿を確認すると
私「(あれ、奥さんって会社から給料貰ってないよな。他に勤めてる様子もないし…。もしかして収入って年金のことか!?)」

改めて確認すると、やはり老齢年金だそうで。
私も最初のやり取りの時に「会社から貰っている給料はいくらですか」と聞けば良かったのですが。
結局、この奥さんは夫の扶養となる要件を満たしてたため(この場合、扶養控除ではなく配偶者控除ですが)、社長の給料から天引きする源泉所得税額を少なくすることに。
さらに前年の年末調整の書類を確認すると、前年分も問題なく扶養に入れてOKのはずが、扶養から外して計算していたため、申告して過払い分を取り戻すことにも成功(もちろん保険の満期など他の収入が無いことも確認済みです)。

話を戻して、収入が公的年金の場合、扶養の判定に103万の数字は使えません。
この場合、公的年金(所得税的には雑所得に該当します)から公的年金等控除額を控除した金額が38万円以下であれば扶養に入れてOKとなります。
この計算に従うと、収入が公的年金のみの場合、年末時点での年齢が
65歳未満の方は年金額108万円以下
65歳以上の方は年金額158万円以下
であれば、扶養に入る金額的な要件は満たします。

なお、公的年金といっても遺族年金や障害年金は所得税の非課税になりますので、その年金額は所得の計算に入れる必要はありません。

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