2015年9月27日 21時16分
重要な「重要性の原則」
カテゴリー:税務・会計
日々の記帳から決算処理に至るまで、時には判断に迷う場面もあると思いますが(一応専門家の私でもそうです)その際に解決の道標の一つとなるのが企業会計原則注解に定める「重要性の原則」です。
会計学を学んだ方ならご存知の「重要性の原則」ですが、この原則には①「重要性の高いものには厳格な処理・表示を要求する」という側面と②「重要性の低いものには簡便な処理・表示を容認する」という側面があります(ちなみに重要性の高低は科目=質と金額=量から判断します)。
ザックリ言うと、大事なものは正しい処理しなさい、その代わり些末なものは大雑把に処理していいよ、ということです。
実務的には、決算書上の表示面でこの原則を意識することが多いでしょうか。
例えば明らかに金額の少ない「売上値引」を単独で表示せずに「売上」勘定から直接マイナスしたり、「新聞図書費」などを「雑費」勘定に含めて表示することが挙げられます。
その一方で、金額的には僅かでも科目の性質上重要と考えられるものは単独表示が求められます。
私見ですが、貸倒損失はその性質上単独表示すべきかなと思うのですが、会社の規模や業種によりその判断は異なるので、文字通り「重要か否か」が鍵になります(固定資産売却益なんかはどうなんでしょう……私は雑収入にコソッと混ぜることもありますが)。
ちなみに「重要性の原則」はあくまでも会計の話ですが、税務にも同様の考えは採用されており、「少額減価償却資産の特例」や「短期前払費用の特例」などが該当します。
これらの特例は、元々の趣旨は上記の「重要性の原則」に従ったものと考えられますが、実務上は決算直前期の節税策として利用されることが多いものです。
まさに節税を図りたい納税者から見ても「重要な」原則と言えます。