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2015年12月19日 21時38分

精算課税は片道切符 その3

カテゴリー:税務・会計

それでは相続時精算課税についてのまとめです。

《相続時精算課税を適用しても良いケース》
贈与者の所有財産から考えて、どう見ても相続税の対象にならないケース
⇒今回の贈与財産も含め、贈与者の所有する財産全部掻き集めても3,000万円に満たなければまず大丈夫でしょう

対象となる財産の評価額が、今後値上がりする可能性が高いケース
⇒早めに次世代に移転した方が、税負担が軽くなります
ただ、自社株贈与の場合は「納税猶予」という制度もあり比較検討が必要です

とりあえず目先の税金さえ回避できればいいというケース
⇒死んだ後のことなんか知るか、という人向け?

《相続時精算課税の適用は慎重に…というケース》
100万円程度の少額の贈与をするケース
⇒暦年贈与で対応可能
(申告自体も不要です)

翌年以降も贈与する可能性があるケース
⇒トータルでの贈与財産がいくらぐらいになるのか検討して下さい

将来相続税が発生する(しそうな)ケース
⇒相続税額のシミュレートも含めて、贈与計画を練った方が良いと思います

孫(相続税の2割加算の対象者)に贈与するケース
⇒明らかに相続税が出そうにないなら、やってもOK
相続税が出る場合でも10万→12万と1,000万→1,200万では話が違うので、やはりシミュレートが必要でしょう

《その他特殊なケース》
法定果実を生み出す財産を贈与財産とするケース
⇒賃貸不動産などの賃料収入を得られる財産は、この収入自体が相続財産の一部を構成しうるので、対象となる不動産の早めの贈与により相続税は軽減できます
その一方で、受贈者の所得税等が増えることや、贈与者の贈与後の生活費の問題もあるので一概に有利不利は言えません

推定相続人が複数いて、その仲がよろしくないケース
⇒特定の人のみに贈与(精算課税での贈与に限りません)することで、他の推定相続人(将来相続人になるであろう人)の遺留分を侵害する可能性があるため、遺留分減殺請求を受けるかもしれません(遺産独り占めするなよってことね)
関係者間で合意を得るのが先決です(税の問題ではないので私の専門外ですが)

とこんな感じで相続時精算課税についてまとめてみましたが、これ以外にも別の切り口からの見方もあると思いますし、今後の法改正も十分あり得ます。
いずれまた機会を見てその辺もお伝えできればと思います。
(ここ3回のブログは、正直書くのに疲れました…)

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