2016年4月20日 21時37分
会社自治を妨げる税法
カテゴリー:税務・会計
唐突ですが、法人税法上の役員報酬に関する規定はかなり厳しいです。
受験生の頃から「随分キツイ規定だなぁ」という印象を持っていましたが、実務について尚更思います。
簡単にまとめると、役員に支給する給与は
①定期同額給与(月給のイメージ)
②事前確定届出給与(賞与のイメージ)
③利益連動給与(同族会社は支給不可)
のいずれかに該当しなければなりません。
※その他、新株予約権を発行する方法などありますがここでは割愛
細かな論点は全部すっ飛ばしますが、①の規定により役員の毎月の報酬は同額でなければならない、②の規定により役員に賞与を支給するときは事前に税務署に届け出なければならない、という扱いになります。
こうした規定が存在することで、役員報酬を機動的に増減することや臨時の賞与を払うことが出来なくなっています。
イヤ出来ないわけではないのですが、法人の経費と認められないため、支給する会社のほうが躊躇ってしまい、実質的に難しいという状況です。
これどうなんでしょう?
もちろん役員報酬に何の制限も無ければ法人の利益操作が容易になってしまうということは理解できますが、もう少し幅を持たせてもいいような気がします。
毎月の報酬については上限だけ定めておき、その範囲内での増減は認めるようにするとか、また臨時に払う賞与も、事前の届出が無くても、月額報酬の何倍以内ならOKとかにしても良いのでは。
そもそも役員報酬を増やすことで法人利益が圧縮されたとしても、その分役員の所得が増え、結果役員個人の所得税が増えることになるので、租税回避の指摘も当てはまらない気が…
事業の法人化には各種のメリットがありますが、それらのメリットを全て台無しにしかねない役員報酬についての縛りです。