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2016年4月24日 22時01分

借金で土地を買うリスク

カテゴリー:税務・会計

景気回復の波は地方都市まで波及しているのでしょうか。
私には全く実感がありませんが…
そんな中、新規の投資案件として土地の取得をご検討の方もおられるでしょう。
その購入資金はどこから調達しますか?
自己資金ならば別に構いません。
もし借入で賄おうとお考えでしたら、ちょっと待ってください。
借金で事業用の土地を買うのは、資金繰りを考えた時に重いリスクとなります。
今回は設備投資と税金の関係についてお伝えしたいと思います。


まずは借入で建物(減価償却資産なら何でも可)を購入するケースを考えます。

借入金の返済が毎期発生しますが、この元本部分は法人の経費には不算入です。
借りたものを返すだけですから、経費性は否認されます(利息は経費でOK)。
法人の経費には算入されませんが、資金の流出はあります。
すなわち「ただ金だけが出ていく状態」です。

その一方で、建物については減価償却費が計上されます。
減価償却費は「資金の流出が無く、かつ法人の経費に算入されるもの」です。

借入金の返済と減価償却費は、ちょうどカードの表裏のような関係にあります。
借入金返済⇒資金流出あり、法人の経費にならない
減価償却費⇒資金流出なし、法人の経費になる

借入金の返済期間と建物の減価償却期間(耐用年数)がおおむね一致していれば毎期の返済額と減価償却費とのバランスも取れるでしょう。
これにより「減価償却費で借入金の元本を返済する」という関係が成立します。
見方を変えると、税引の利益で借入金を返済できるということになります。


次に借入で土地を購入するケースです。

借入金元本の返済については上記と同様です。
資金の流出があるだけで、法人の経費には不算入です。

それに対し(ここから事情が変わります)土地は非減価償却資産であることから減価償却を行いません。
当然減価償却費は計上されないことになります。

したがって会社の利益から返済額を捻出することになります。
ただし利益が出れば税負担が生じますから、今度は税引の利益が返済の原資となります。
儲けた利益の一部は税金として納めなければならないため、その残額しか返済に回せないわけです。

法人税等の実効税率をざっと30%と考えると、税引前の利益で返済するケースと比較した場合、約1.4倍の利益を出す必要があります。
利益がこの水準に満たなければ、借入金の返済額+法人税等の支払で会社資産が喰われることになります。
会社は黒字で債権回収も滞っていないのに、現預金は目減りするという状態。
これが借金で土地を取得した時の恐ろしさです。


ちょっと小難しい話になりましたが、とにかく借金で土地を買うのは危険ということだけ覚えておいてください。
本当に資金繰りが苦しくなるケースがほとんどですから。

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