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2016年5月2日 21時39分

法人と個人事業の格差

カテゴリー:税務・会計

法人の所得計算と個人事業の事業所得の計算は、基本的な発想は同じなのですがやはり扱いが異なる部分もあります。
ちょうど法人の3月決算にぼちぼち手を付ける時期ということもあり、事業所得との違いについて色々思い知らされることもあるので、異なる扱いになるものをいくつかご紹介したいと思います。


ロータリークラブ、ライオンズクラブの入会金・年会費

法人の場合、これらの費用は交際費等として損金処理されます。
個人事業の場合、これらの費用は必要経費には算入されません。

個人事業の「必要経費」は、法人の経費である「損金」より狭いイメージです。
個人事業の場合、どうしても生活費と事業上の必要経費との線引きという問題が生じ、ある支出につき必要経費であると主張するためには、その支出が事業遂行に直接必要なものであることが求められます。
上記の会費は、信用力の向上など事業に間接的には影響を与えうるものですが、直接的な繋がりは否定されるため、必要経費には算入されないことになります。

個人的には必要経費にしたいところですが、この問題は裁決例にもたびたび登場しており、やはり必要経費性を否定されているので難しいところです。


生計一親族に支払った経費(給料、地代等)

法人の場合、役員本人又はその親族に支払った経費は原則損金に算入されます。
ただ不相当に高額な部分については損金不算入となりますので、あくまでも適正額の範囲内となります。
受取った個人については、給与所得や不動産所得が生じます。
確定申告が必要になる場合もありますので、お忘れなく。

社長さんが、個人名義の不動産を会社に貸している場合、賃料を取らず使用貸借としているケースが実際は多いのではないでしょうか。

個人事業の場合、同居親族に支払った経費は、必要経費には算入されません。
支払側で必要経費にならない以上、受取った個人にも所得は生じません。
例外的に、青色事業専従者給与の届出を提出している場合、届出た金額の範囲内で専従者に支払った給料を必要経費にすることが出来ます。
この場合でも業務内容に対して給与額が見合っているかは問われます。


出張したときの日当

法人の場合、法人自体と役員は別人格ですので、日当も法人の旅費交通費として損金となります。
さらに受取った役員側でも日当については所得税は一応非課税という扱いです。

個人事業の場合、事業主が受取る日当は事業経費とはなりません。
支払者=受領者となり、てめーがてめーに払うものを経費には出来ないのです。
ただ日当の中に必要経費に該当する旅費交通費や交際費がある場合は、その部分につき必要経費とすることはできるでしょう。

※日当にはその性格や支給基準、金額の妥当性など注意しなければならない問題がありますので別の機会に取り上げたいと思います。


このように法人税法上の損金と個人事業の必要経費には、扱いに差があるものもあります。
①にはちょっと理不尽さを感じてしまうのですが、どうでしょう?

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