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2017年12月17日 20時14分

個人事業者に少し朗報

カテゴリー:税務・会計 , 話題

日本の税制を見ると、給与所得者、所謂サラリーマン(会社役員含む)が税負担の面でかなり優遇されているのが分かります。
個人事業者と給与所得者で同額の稼ぎでも、税金の対象となる所得金額に大きな違いが生じています。

個人事業者の場合、事業収入ー必要経費=事業所得
収入から経費を差し引いた残りが儲けというシンプルな構図ですね。
青色申告者であれば、ここから65万円または10万円を控除することが出来ます。

これに対し給与所得者の場合、給与収入がそのまま儲けになりそうですが、ここから給与所得控除という「給料を得るために必要となる経費」を差し引くことが出来ます。
そしてこの給与所得控除額は、実額ではなく給与収入に応じた一定の算式に従い概算※で計算することになります。
(※実額で計算する「特定支出」というものもありますが今回は省略)

「給料を得るための必要経費」って、何かありますかね?
それほど大きな金額になる経費は無いのではないでしょうか。
すぐ浮かぶのは通勤費ですが、これは手当で支給される会社も多いでしょう。
あとはスーツ等の衣装代でしょうか。
そもそも仕事に必要な機材や道具は雇い主である会社が用意すべきものですし、同じく仕事に必要な資格や技能の取得費用も会社負担が本来の姿です。
仮に自己負担だとしても、それらは実額で計算できるはずで、概算とする理由は無いはずです。
給与収入が500万円の場合、給与所得控除額は150万円を超える額となり、これはもうどう考えても実額とかけ離れた金額だと感じます。

つまり給与所得者の場合、経費としての実体をはるかに超える金額を、給与所得控除として計上することが許され、課税対象となる所得を大きく減らし税負担を軽減していることになります。
年末調整で税金を勝手に計算されることとも相俟って、給与所得者の方々に実感は無いかもしれませんが、実は相当な恩恵に預かっているわけです。

…というネタを書こうと思って準備していたのですが。

直近の税制改正大綱により、若干状況が変わることになりそうです。
これまでの給与所得控除額を10万円減らし、その代わり全員に共通の基礎控除額を10万円増やすことで、個人事業者の税負担が少し軽くなります。
給与所得者についても、平均的な稼ぎ程度であればこれまでと変わらないので、まあ文句は出ないのでしょう(将来的には分からんけど)。

適用は2020年からの予定ですから、もう少し先の話にはなりますが。

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