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2016年1月24日 21時23分

所得はガラス張り……でもない

カテゴリー:税務・会計 , 話題

マイナンバー制度が本格的に導入され、テレビ等でも特集が組まれています。
その中で気になるのが、「マイナンバーのせいで稼ぎが全部把握されてしまう」という意見(イメージですが主に夜の飲食店関係者に多い印象)。
いや、ちょっと待ってくれよって思うんです。
マイナンバー以前に、出すべき書類を正しく提出しているんですか、と。

事業者はちょうど今のこの時期、税務署に対しては法定調書を、市町村に対しては給与支払報告書という書類をそれぞれ提出します。
税務署に出す法定調書は、給与所得の源泉徴収票と同じ書式(他にもありますが割愛)ですが、全ての従業員について出す必要はなく、一定の支払金額を超える者のみが対象となります。
また市町村に出す給与支払報告書は、基本的には全従業員について提出します。
市町村はこの給与支払報告書をベースとして各人の住民税を計算することになるのですが(確定申告する人は別です)、日本にある全事業者の全従業員についてこの提出が正しくなされているかというと、私は甚だ疑問です。
「サラリーマンの稼ぎは100%役所に捕捉されている」と言われますが、意外にこうした書類の未提出を原因とする漏れもあるのではないでしょうか。

来年の今頃に出す給与支払報告書には、従業員のマイナンバーを記載することになりますが、結局マイナンバーってその番号1つでヒモ付きになるというだけで元になる書類を正しく出しているのが前提なんです。
なのでちゃんと書類を出していない(と思われる)事業者が、マイナンバーだけを不安がるのは違和感を感じます(その前に書類の未提出を不安がれよ)。

それ以前に、開業届や給与支払事務所の届出をまともに出しているのかも怪しい個人事業者が存在しているという事実。
存在を認知されていない事業者が一番脱税しやすい、というお話。

※ちなみに、預金口座とマイナンバーとのヒモ付きを義務化しようという動きもあり、これが実現すれば個人所得はかなりガラス張りに近い状態になるでしょう(プライバシーの問題はさておき)。

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