ブログ

2016年1月31日 20時42分

社長が入院したその時に

カテゴリー:社会保険 , 税務・会計

顧問先の社長さんから唐突に言われた一言。
社長「しばらく入院スッから。」
私 「ファッ!?(冬アイスうめーとか書いてる場合じゃねぇ)」
まあ、よくよく話を聞くと生死に関わるような重い病気ではないようで、手術後リハビリを順調にこなし、問題なければ仕事にも復帰するつもりとのこと。
短命県の青森県民とは言え、平均寿命にはまだまだ遠いお若い社長さんですから何とか健康な体を取り戻していただきたいところです。

こんな経緯もあったので、今回は会社の役員さんが病気で療養生活に入った時に考えておくべき事項について触れてみたいと思います。

①契約している保険会社へ連絡
役員名義または法人名義で契約している医療保険があれば、まずはその保険会社に連絡です。
契約内容によっては保険金支払いの対象にならない場合もありますが、自己判断せずにとりあえず連絡だけは入れておきましょう。
担当者さんとの日頃の付き合いによっては、うまく(保険金が出るように)対応してくれる可能性もあります。

②医療費控除を受けるための用意
確定申告で医療費控除を受けるため、医療機関から発行される領収書はしっかり取っておいて下さい(再発行には応じない医療機関がほとんどですから)。
そのほか医療機関までの交通費なども対象になり得ますので、これもとりあえず保存だけはしておきましょう。
医療費控除の対象になるかならないかを書き出すとキリがないので(というか私も全部は覚えていない)「取りあえずとっておく」というスタンスでOKです。
申告時に税務署の確定申告コーナーに行き、応対した税務署の職員さん相手に「対象になる、ならない」を聞けば用は足ります。
なお、医療費の額によっては「結果的に」医療費控除額がゼロになることもあり得ますが、その時はしょうがないです。

③役員報酬を減額するかの判断
長期療養により役員の職務を果たせない場合、役員報酬の減額を検討します。
法人税法上、役員報酬には厳しい(やり過ぎとも言える)規定が置かれており、期中の報酬額改定には一定のルールがあります。
このルールに従わない減額の場合、法人税法上の経費(損金といいます)として認められない可能性が出てきますが、病気療養を起因とする減額改定については通常認められます(これが認められないとすればさすがに鬼すぎるわ)。
会社としては、役員報酬減額に関する議事録をしっかり作成しておきましょう。

④傷病手当金の支給申請
健康保険には、病気療養のため就労できず無報酬(または報酬の減額)となった時のために、失った所得を一部補償する「傷病手当金」という制度があります。
「法律で決まっているから」と渋々社会保険に加入している社長さんも多いかと思いますが、こうした手当もあるのでバカにできません。
役員報酬を減額した場合は、この傷病手当金を受給できる可能性がありますので申請書類の準備をしておきましょう。

そのほか治療費が高額になった場合に自己負担額を一定に抑える「高額療養費」制度などもありますが、これは医療機関からも説明がされるでしょうから、それに従って下さい。

万が一の時のための保険制度ですが、その万が一の事態が生じた時には、保険のことを考える余裕はないのかもしれません。
平時の時こそ「こういう制度がある」ということを意識しておくのが大事です。

LINEで送る
Pocket

ブログの一覧へ戻る▲